2025/06/28 23:22

回復する人間 という本(短編小説集)を読んでいる。
何故かクセになってこの著者の本を読むのは三冊目。
明るい話ではないし、ハッピーエンドでもないのになぜ読みたくなるのだろう。
辛いことが書かれているのに読後にズーンとならないのは文章の端々から美しい情景が受け取れるからだろうか?
などと抽象的なことを思った。要はうまく言葉にできない。

少し前にパイナップルを描いた。
実物を見て描きたくて青果店でパイナップルを丸ごと初めて買った。
描き終わる頃には葉っぱが真っ黒になってしまい、急いで切って食べたパイナップルは甘くて美味しいことこの上なかった。
それを思い出してカットパインを買って食べたみたらその時ほど美味しく感じなかった。
どの瞬間もその時だけのもので一つ一つ大切にしまわれていくのだな。
胸が痛くなるような情景もそのようにしてしまわれて、後で取り出した時には仄かな灯りで歩いている道を照らしてくれるのかもしれない。